日本図書館文化史研究会
2013年度研究集会・会員総会のご案内

 2013年度日本図書館文化史研究会研究集会・会員総会を下記のように開催します。

○日  程: 2013年9月13日(金)・14日(土)・15日(日)
○会  場: 東北大学川内北キャンパス講義棟A棟 A-105教室(主会場),A-104教室(会員控室,運営委員会)
(〒980-8576 仙台市青葉区川内41)
*会場は上記Webページキャンパスマップの8番の建物です。

○交  通: 仙台市営バス「東北大川内キャンパス・萩ホール前」バス停(2-A[マップ参照]
または「川内郵便局前」バス停(2-B[マップ参照]) ともに下車徒歩2分程度
*仙台駅前バス停のりばにて9番,もしくは16番から乗車できます。

○参 加 費: 会員・非会員いずれも2,000円
*特別講演のみ参加の場合は,会員・非会員とも1,000円

○懇親会費: 4,000円
*参加費・懇親会費は,参加当日,受付にてお支払ください。

○申込方法: 下記の2つの方法があります。
1.参加申込フォームからの申し込み
 下記の申込フォームよりウェブ上でご記入のうえ,送信ください。
 [★申し込みフォーム★]
★(9/11追加)★申し込みフォームから登録された方には、送信ボタンが押された後で確認メールが自動送信されます。確認メールが届いていない場合は登録されていない可能性がありますので、申込先のメールアドレスまで別途ご連絡をお願いします。

2.電子メール,はがきでのお申込み
 下記の事項を明記してお申し込みください。
  • 氏名(ふりがな)
  • 所属
  • 懇親会参加の有無
  • オプショナルツアーA1,A2,Bの参加の有無(複数のツアーへの参加が可能です。詳細は下記をご覧ください。)

○申 込 先 : はがき:〒980-8576 仙台市青葉区川内27-1 東北大学大学院教育情報学研究部 泉山研究室
電子メール:izm-lab「アットマーク」ei.tohoku.ac.jp
*上記,「アットマーク」は@に変更してください。送信件名に「研究集会参加」とお書き願います。

○申込締切 : 9月9日(月)(必着)
■オプショナルツアーの締切は,9月2日(月)となりますのでご注意ください。参加人数により準備内容の調整が必要となります。お早めのご連絡をお願いいたします。
○プログラム
下記に,9月13日(金)から15日(日)まで,オプショナルツアーや研究集会を時系列で掲載いたしました。

●9月13日(金)●
        ■ オプショナルツアーA1(10:30-12:00) 東北大学史料館(旧東北大学附属図書館本館)見学会

 1973年まで東北大学附属図書館本館として使用されていた建物を利用している,東北大学史料館の見学会を開催します。今回は,建物のほか,帝国大学時代の図書館の運営記録や写真なども見学できる予定です。
 見学会終了後,引き続きオプショナルツアーA2に参加する方は宮城県図書館まで移動していただきます(→【オプショナルツアーA2】のご案内の後の,「交通手段」と「注記()」をご覧ください)。
   
      ・集合時間:10時30分
      ・集合場所:東北大学片平キャンパス東北大学史料館前(仙台市青葉区片平2-1-1)[東北大学片平キャンパスマップ]
  
  
        ■ オプショナルツアーA2(14:30-16:30)宮城県図書館見学

 特別講演に先立ち,宮城県図書館を会場に宮城県の図書館文化史に関わる資料の見学会を開催します。今回は青柳文庫を初めとする資料の閲覧のほか,館内ツアーを予定しています。なお,2階展示室でおこなわれている展示会(9:00-17:00)については,館内ツアーでは十分な時間を取れない見込みです。オプショナルツアーの前にご覧いただくことを推奨します。

      ・集合時間:14時20分
      ・集合場所:宮城県図書館1階エントランスホール(宮城県仙台市泉区紫山1-1-1)
      ・交通手段(※):仙台駅より仙台市営地下鉄で泉中央駅(終点)まで移動の後,宮城交通バスに乗り換え,「宮城県図書館前」下車徒歩2分 [アクセス]

※オプショナルツアーA2の参加人数によりバス等の借り上げを手配する場合があります。その場合の料金および集合場所等は,オプショナルツアー受付終了後に参加予定者にご連絡いたします。

●9月14日(土)●
      ■ オプショナルツアーB(10:30-11:30) 東北大学附属図書館本館見学会

 研究集会の会場となるキャンパスに隣接した東北大学附属図書館の見学会を開催します。今回は,鬼頭梓氏設計の本館とともに,附属図書館所蔵資料の見学を行います。
 なお,附属図書館は改修工事のための準備作業期間に入っており,2012年度に設置されたラーニングコモンズも含めた什器等の撤去作業が予定されていますので,見学ルートなどは作業の進行状況を見て決定します。

 また,所蔵資料見学については,下記Webサイトで紹介している資料から参加者一人当たり2点を上限にリクエストを募り,ご覧いただく予定です(一部資料は資料保全のために見学できない場合があります。あらかじめご了承ください)。リクエストは,オプショナルツアーと同様に9月2日(月)必着で,参加申込フォームにて(または,申込先・郵送先まで)ご連絡ください。
※東北大学デジタルコレクション[詳細]

      ・集合時間:10時30分
      ・集合場所:東北大学附属図書館本館 正面玄関前(仙台市青葉区川内27-1)

■ 研究集会・会員総会
12:00から受付開始
12:30-13:20会員総会
13:20-13:30休憩
13:30-13:35開会挨拶
   
13:35-13:45特別講演「東北の書物・図書館文化の淵源と資料保全」
企画 趣旨説明 泉山靖人(東北大学)

13:45-14:45特別講演1「災害を超え,よみがえる仙台の文字文化:歴史資料保全活動10年の軌跡」
佐藤大介 (東北大学災害科学国際研究所・宮城歴史資料保全ネットワーク)

[概要] 2003年の地震を契機に始まった宮城地区での歴史資料保全活動。
今年はその10周年にあたる。活動の歩み,東日本大震災への対応を紹介する。
さらに,活動から浮かび上がってきた仙台領の文字文化に関わる新たな史実
について情報を共有していきたい。
14:45-14:50休憩
14:50-15:50特別講演2「青柳文庫:江戸時代における蔵書の蓄積と公的貸出」
早坂信子 (東北学院大学ほか非常勤講師)

[概要] 天保二年,仙台藩が青柳文蔵の蔵書献呈を受け入れ「青柳文庫」を
開設し,藩吏が書式を定めて無料で個人貸出を始め,城下の人々が盛んに
それを利用したとき,それは近代公共図書館に限りなく近い存在だった。
江戸時代における公立図書館の先駆とみなされる「青柳文庫」の
誕生から宮城書籍館設立までの50年間の歴史を仔細に辿り,近世から
近代に跨る蔵書の蓄積とその公的貸出を考察することによって,
日本独自の図書館文化史を描きたい。

15:50-16:30質疑応答 [終了後,懇親会参加者は移動]
  
18:30-20:30懇親会伊達のいろり焼「蔵の庄」一番町本店
(仙台市青葉区一番町3-8-14 鈴喜アバンティビル2階 電話:022-224-3031)


●9月15日(日)●
9:00-10:00個人研究発表1竹林熊彦と青年図書館員聯盟の図書館革新運動
 よねい・かついちろう
  
10:00-11:00個人研究発表2インドの図書館運動史:S.R.ランガナタンを手がかりに
 吉植庄栄(宮城教育大学附属図書館)
   
11:00-12:00個人研究発表31950年代米国の図書館員養成の実態
長倉美恵子
12:00-13:30昼休み
運営委員会
(運営委員会は12:15から,A-104教室)
  
13:30-14:30個人研究発表4「学生風紀問題」と図書館選書(仮)
新藤 透(山形県立米沢女子短期大学)
14:30-15:30個人研究発表5近世仙台における書籍文化
佐藤友則
15:30-16:30個人研究発表6被災地図書館への支援活動:いわて高等教育コンソーソシアムの活動を通じて
千錫烈(盛岡大学)
16:30-16:35閉会挨拶本研究会代表・小田光宏(青山学院大学)


○ 個人発表要旨

個人発表要旨
 発表1 よねい・かついちろう
 竹林熊彦と青年図書館員聯盟の図書館革新運動
  青年図書館員聯盟(青聯)といえば,わが国の図書館運動に大きな役割を演じたことで知られている。図書館史研究で著名な竹林熊彦(1888〜1960)もこの青聯の重要なメンバーであった。しかし,青聯と竹林などその関係者については,進歩的なツール策定などの取組みと,当時の彼らの時局迎合的な言説や実践に窺われる姿を上手く統合することができなかったためであろう,顕彰的な言及以外には十分な考察がなされてはこなかった。
 今回の発表では,竹林と青聯の図書館革新運動の歴史的な位置づけを試みると共に,今日のわれわれから見て著しく教化的で正常な図書館活動からの逸脱と評価される大衆を指向した当時の彼らなどの手になる図書館運動が,同時代の他地域でも見られるものであり,わが国に特異なものではなかったことを,竹林が終生の範としたインドの図書館学者ランガナタン(1892〜1972)の図書館学の五法則を連結点とし,指摘する。
 発表2 吉植庄栄(宮城教育大学附属図書館)
 インドの図書館運動史:S.R.ランガナタンを手がかりに
 本発表は,主にS.R.ランガナタン,そしてそのランガナタンに影響を与えたと推測されるバローダ藩王サヤジラオIII世の二人の事跡を紹介することで,インドの図書館運動史を概観するものである。
 イギリス統治下の20世紀初頭,現在のグジャラート州にあったバローダ藩王国のサヤジラオIII世は,アメリカ合衆国を模範とした公共図書館制度の導入を行った。彼の業績はインドの図書館の模範となり,その後の図書館運動に大きな影響を与えるのである。我が国でも有名であるS.R.ランガナタンもその成功を見ていた一人である。彼は1920年代から活躍しはじめ,図書館運動の中心となり,その後「インド図書館学の父」と呼ばれるような地位を占める。
 この二人の業績を,「図書館と図書館協会の設立」「機関誌創刊」「図書館専門職養成機関の設立」「図書館法の制定運動」といった図書館運動の視点で整理し,考察を加える。
 発表3 長倉美恵子
 1950年代米国の図書館員養成の実態
 1950年代半ばから,米国では教育関連分野専門職員養成に大学院修士(Master)課程が普及し始めた。図書館員養成も例外ではない。また,米国における教員を含む教育関連職員養成は,当時の我国と比較すると格段に具体的,実践的,実用的な教育であった。この傾向は大学院課程発足後においても継続された。こうした苛酷ともいえる専門テクノロジーの注入と錬磨は,特に図書館職員のProfessionalism,つまりプロ意識や専門職制の確立に寄与していると思われる。
 以上のような革新期・発展期であった1950年代後半における米国での図書館員養成の実態を述べるために,西ミシガン大学図書館学科(Department of Librarianship, Western Michigan University)における1956〜58年度の実際のカリキュラム,シラバス,試験問題,レポート課題,見学・実習要項等を提示する。
 発表4 新藤透(山形県立米沢女子短期大学)
 「学生風紀問題」と図書館選書(仮)
 明治政府は1906年に文部大臣訓令「学生生徒ノ風紀振粛ニ関スル件」,次いで1910年に「図書館設置ニ関スル注意事項」を発令した。それは当時「学生風紀問題」が世相を賑わせていたからである。藤村操の日光華厳の滝での投身自殺以降,若者を中心に「自殺ブーム」となっており,「煩悶」・「厭世」・「堕落」学生が社会問題となっていた。両訓令でその一因とされ批判の対象とされたのが通俗小説である。特に1910年の訓令では,通俗小説の図書館からの排除を主張していた。「堕落学生」を描いた通俗小説を学生の目から遠ざけるべきであるという主張は文部省の意向だけではなく,多くの社会教育の学術書や啓蒙書にみられ,当時の知識人一般の共通認識であった。明治後期は通俗図書館が地方に相次いで開設されていたが,それらは通俗小説などの「不健全な書物」を排除し,「良書」を中心に所蔵し学生をはじめとする青少年に利用させ,飲酒や夜更かしなどの「悪習」を止めさせ生活習慣の改善を目指すものであったのである。
 発表5 佐藤友則
 近世仙台における書籍文化
 本発表では,仙台藩の近世の書籍文化がどのように明治期以降の仙台の図書館へつながったのかを発表する。内容としては,@仙台藩における図書館的機能を持った機関(具体的には藩校の養賢堂の組織や「伊達文庫」「青柳文庫」などの仙台五文庫)について。A仙台藩における書籍関連機関(書店,出版機関など)について。この2点を中心に,現在までの関連する先行研究のまとめから,仙台藩における書籍文化の様子を明らかにしてゆくことで,それが明治期以降の宮城県での図書館の誕生と発展にどのようにつながっていったのかを考察,発表する。
 発表6 千錫烈(盛岡大学)
 被災地図書館への支援活動:いわて高等教育コンソーソシアムの活動を通じて
 平成23年3月11日の東日本大震災により,多くの公立図書館および学校図書室も被災し,その復旧・復興には多方面からの支援が依然として必要となっています。  盛岡大学と富士大学では岩手県における図書館司書養成の中核を担う大学として専門的知識と技能を生かし被災地域の図書館支援を行うために,岩手県内の大学コンソーシアムである「いわて高等教育コンソーソシアム」の組織内に「被災地の図書修復及び整備についての研究チーム」を立ち上げ,お互いの大学の特色を活かしながら横断的かつ幅広い支援活動を行っています。
 沿岸被災地である陸前高田委市や宮古市などでの公共図書館や学校図書館への支援活動についての報告と司書課程を有する大学としての支援のあり方を検討していきます。

最新の研究集会・研究例会案内に戻る